小説でも漫画でも、あとがきを読むのが好き。ほとんどの場合は、まずあとがきから読む。あとがきがあるかどうか最初に確かめて、なければちょっと寂しくなる、あったら読んで、本編をじっくり読んでから最後にもう一度読む。

 作品のことが語られていても、語られていなくても、何が書いてあっても別に構わない。作者さんのことが知りたい。面白い作品を読むと、それを作った人のことが知りたくなる。「あとがき」と一口に言っても書き方は様々で、いろいろな書き方があって楽しいので、自分が好きなこの作品を書いた作者さんなら一体どんなことを書くんだろう、ということに興味がわく。

 あとがきに関して、『すべてがFになる』の作者である森博嗣先生は、『森博嗣のミステリィ工作室』の中でこんなことを語っている。

 それが見たい人はもちろんいるだろう。しかし、見たくない人も多い。読者としての森は、見たくない。「あとがき」があって、そこに作家が現れると、たった今読んだお話が作り物だ、ということを念押しされるのだ。「これはこういった経緯で書いたものです」なんて作者の口から語られると、たちまち幻滅してしまう。もう少し作品世界に浸っていたいときに、無粋にも現実に引き戻されてしまう。だから、「あとがき」が嫌いなのである。自分がそういうタイプの読者なので、自分の本には「あとがき」を書かないことにした。

-森博嗣『森博嗣のミステリィ工作室』(講談社, 2001)より-

 森先生は自分の作品にあとがきを書かない。この本を読むまでは、書かないことにそんな理由があるということも知らなかったし、森先生の本を読んだときに「あとがきを読んでみたいなぁ」と思ったこともあった。しかし、そう言われると、あとがきを読みたくない・書きたくないという気持ちも分かる気がする。あとがきを読むと、現実に引き戻される。それは確かにある。

 それじゃあ自分はどうしてあとがきが読みたいのかというと、この理由が意外にも、森先生があとがきを見たくない、という理由と一致するんじゃないかと。あとがきを読むと確かにたった今読んだお話が作り物だと念押しされるけれど、自分はそこで、この人がこの素晴らしい作品を書いたんだ!ということを意識したい。「こういった経緯で書いたものです」とかむしろ聞きたいし、もちろん幻滅することもない。作品を読んでいる間は(とくに小説の場合)作品の世界に入り込んでるけど、読み終わったら別の話。もしかしたら自分が割と現実主義なのかもしれない。創作なんだから誰かが作ったはずで、作品と作者は切っても切り離せない。作者がいるから作品が作られる。ということが、作品を読んだあとに急激に前面に出てきてしまう。

 森先生は自作にあとがきを書かないけれど、S&Mシリーズ完結後に『森博嗣のミステリィ工作室』で、Vシリーズ完結後に『100人の森博嗣』で、改めて自分の作品について語っている。いわゆるファンブック的な本であり、読みたい人へのサービスである。これが自分のような読者にはすごく有難い。最近Gシリーズを読み進めていて『θは遊んでくれたよ』を読み終わったときに「あとがきが読みたい!」と思って、上記2冊のような本が出てないか講談社のサイトまで行って探してしまった。探してから、Gシリーズがまだ完結していないことを思い出した。当然そういう本はまだ出てないし、出るかどうかも分からない。とにかく今は早かった…でもやっぱりあとがき読みたい。


 もう一つ考えられる理由は、面白い作品を書く人は、作品以外で書いた文章も面白いことが多いから。森先生もそのタイプ。漫画だと『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生とか。『ONE PIECE』にはあとがきはないけど、尾田先生が読者からの質問に答えるSBSというコーナーがあって、くだらない質問から大真面目な質問まで読んでてすごく楽しい。

 まんがタイムきらら(無印)に載っているリレーエッセイも好き……とここまで書いてきたところで、要するに自分はエッセイが好きなのか、というところに思い至る。うーんそうかもしれない。でも単独で「エッセイ」として出てる本はあんまり読まない。そう考えると、「作品」と「あとがき」がセットになってるからこそ好きなのか? とも思うけどよく分からない。

 面白い漫画を読むと、作者さんのツイッターアカウントを探してフォローするのも、ちょっと似ている。ただこっちは「その人の作品を追い続けたい」「告知をチェックする」のが一番の理由。最近は、好きな作品がアニメ化すると、監督・脚本・キャラクターデザイン・キャストなど関係者のアカウントをフォローしに行くようになった。これはあとがきを読みたい理由に近い。各話が放送されたあとで、あるいは全話放送終了したあとでも、スタッフの口から作品について語られていると喜んで読む。これがアニメにとっての「あとがき」みたいなものか。

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 というわけで、あとがきについて書いてみた。そういえば自分もブログでよく感想とは別にあとがきみたいなものを書く。***で区切ったりして。森先生が「あとがきを見たくない」という理由で自作にあとがきを書かないのと同じで、自分も「あとがきを見たい」というスタンスだから、自分の記事にあとがきを書いていたということ…?

 最近アニメ見てて、CMが邪魔だなと思うことがあった。Aパートが終わって作品の世界にのめり込んでいるのに、急に関係ない映像が流れてきて気持ちをリセットされる。森先生があとがきを読みたくない理由は、これに近い気持ちなのかなと思った。あとがきを読みたい自分でも、そういう「現実に引き戻されるから嫌」と思うタイミングはある。




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