見た!

 天乃咲哉先生の『このはな綺譚』および『此花亭奇譚』。大好きな作品なので、アニメ放送開始を今か今かと待ってました。なるべく変な先入観は取り除いて、第一話で初めて動く柚たちを見たかったので、PVやニコ生特番などの類は全部スルーして見た。

 第一話すごく良かった! どれだけ期待しているといっても見る寸前までは多少の不安があったものの、もう完全に取っ払われた。もう全部良かった。


第一話 さくやこのはな

 サブタイトルに(全十二話)って出てきてなんぞやと思った。自分の知ってる範囲で初回で全何話って出すアニメなんてあったっけ。

 Aパート。比丘尼様に連れられて此花亭にやってきた柚と、教育係の皐と、薬売りのお客さん。柚が星を落としてみせたあと、「山向こうに落ちております」とすっごいキラキラした表情で言ってくるところが可愛かった。皐は怒ってて、柚がみなまで言うのを待たずガツンと一発殴る。この辺りはすごくテンポがよくて面白かった。

 温泉で柚は「自分にできることをしたかったんです」と言っていた。とんちを利かせて星を落とした(ように見せた)のは、柚にはできても、皐にはできないこと。お薬を買うことがお詫びにならないことを柚が言えなかったように、皐にも至らない部分があるし、柚にもできることがあるんだなって。きっと桐ちゃんは、そういう点で皐にとって良い刺激になるように、柚にとって良い刺激になるように、二人を組ませたんだと信じたい。


 Bパート。柚と櫻。櫻は原作読んでてもほとんど喋ってるのを見た覚えがない…(汗)喋らない上に行動の読めない子。皐から言われた「意味が分からなかったら真似しとけ」という言葉を信じて、とにかく櫻の真似をしてみる柚が可愛かった。

 草笛を吹くところは、櫻はほとんど喋らないけど、意思疎通はちょっと出来てるような感じがした。櫻が吹いてるのとは違う葉っぱで笛を吹く柚。櫻は最初その葉っぱで音を鳴らすことができなかった。でもすぐできるようになった。短いやりとりだけど、このシーン好き。言葉がなくても何かが伝わっているなって思えるの良い。

 櫻を追いかけてたどりついたのは目を見張るような、桜の咲き誇る風景だった。このシーンの桜も、冒頭で此花亭への道すがら見えていた桜にしても、すごく綺麗! とくに桜の花の一枚一枚よりも、遠目から見たまとまって咲く"桜の木"の描き方が綺麗で気に入った。


 主題歌について。どちらも良かった!

 この第一話だからこそだろうけど、比丘尼様と柚が此花亭に着いたところから、OPに入って此花亭の中身・仕事風景を見せるという流れが素晴らしい。OPの最後で「このはな綺譚」とタイトルが出るところでは和柄が使われていて、作品との親和性がすごく高い。

 EDはクレジットが縦書き。縦書きで並んだ仲居6人の役名と、声優さんの名前が、あまりにも整然と並んでいて気持ち悪いくらいの心地良さがあって良かった。仲居は6人とも名前が漢字1文字だけど、声優さんのほうは4文字だったり5文字だったりする。それをわざわざ揃えてあるのが素敵。


 キャストについて。

 大原さやかさんの演じる比丘尼様が良かった。この、すべてを包み込むような、慈愛に満ちた声…! 柚が比丘尼様の言葉を思い出すシーンでも、その声がすごく深く胸に沁み込んでくる。これ以上なくぴったりな配役だわ…。

 柚を演じる大野柚布子さんの声は『天使の3P!』で先に聞いていて良かった。この人が柚を演じるとどうなるんだろう、と思ってたけど、こうなったか…と。正直言うと、漫画読んでて抱いていたイメージと微妙に違うかも。でもすぐ上書きされてしまう。私のイメージのほうが間違っていた、と思わされるような、良い演技だった。

 皐を演じている秦佐和子さん、蓮を演じている久保田梨沙さんの声はたぶん聞くの初めてだけど、全然違和感がなかった。蓮は1話では出番が少なかったからまだ分かんないけど、皐のほうは1話から十分声が聞けて、すごく合ってると思った。声の低さ(高さ)がちょうどいい。

 棗を演じている諏訪彩花さん、櫻を演じている加隈亜衣さん、この辺りは安心感がある。諏訪さんと棗の声がすごく合ってる…今まで諏訪さんのいろいろなキャラの声を聴いてきたけど、その中でもかなり気持ちよく聞こえる。意識しないと諏訪さんだって分からないくらい馴染んでる。その点加隈さんは喋った瞬間「あ、加隈さんだ」と思ったけど、それは自分が加隈さんの声を好きすぎるせいか否か…

 桐ちゃんを演じる沼倉愛美さんは、桐ちゃんがたまに見せる悪そうな一面の演技が良い(皐に対して「できないか~」って言うところとか、櫻と二人きりのときのおやじっぽい発言とか)。桐ちゃんの性格をよく表現してるし、沼倉さんが本来持っている声自体が、桐ちゃんのそういうキャラと合っている気がする。

 緒方恵美さんの女将については、今はちょっと感想を保留したいところなので、またの機会に…


 あと全体的に良いなと思ったのは、けも耳やしっぽが動く瞬間。これは漫画だとどうしても想像で補うしかないところで、冒頭の揺れる柚のしっぽとか、そのもふもふ感とか…! 今後も、随所で癒されそうな感じ。

***

 余談。巷では「花咲くいろは2期」とか「実質うらら迷路帖2期」とか「花いろとうららを足して2で割って千と千尋を足した」とか、なんかいろいろ言われてて、ちょっと複雑な気分。花いろは分かるとしても、うらら迷路帖とは…? そんなこと言われてもさっぱりわからなくて、改めて見てみたけどやっぱりよく分からなかった。

 でも『うらら迷路帖』も『このはな綺譚』も、甲乙つけられないくらいどちらも大好きな作品なので、少しでも似ている雰囲気を感じた人がいるということは、自分も無意識に似たような作品に引き寄せられていってるのかも、と思った。そして、アニメが終わってもうみんなすっかり忘れたかと思ってたのに、うらら迷路帖のことを覚えてくれている人がいっぱいいることが分かって嬉しかった。余談終わり。

 『このはな綺譚』について語るせっかくの機会なので、感想は全話書きたい。




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